●建築基準法告示 1457号 工学的基盤の傾斜


H19新告示対応

改正建築基準法が施行されました

構造計算書偽造が二度と起こらないように、不適切な設計行為がなされないようにと建築基準法が6/20改正されました。限界耐力計算では表層地盤増幅(以下Gs)による不適切な地震動(スペクトル)の低減を防止するため、告示1457号を改正しGsの使用法・計算法に対し以下の制限が設けられました。

<Gs改正概要>  ・・・・正確には告示をお読みください・・・・
1) 液状化のおそれがない場合に計算可能
2) がけ地等の傾斜した地盤近傍でない場合に計算可能
3) 安全限界時のみ詳細法にて計算可能
4) 詳細法の長周期域でGs≧1.23
5) 地盤物性の別表及び減衰算定式hの低減係数が削除
6) 工学的基盤の確認
    6-1 せん断波速度Vs≧400m/sかつ5m以上の厚さの確認
    6-2 表層地盤厚さの5倍程度の範囲において5度以下の傾斜を確認
7) 表層地盤中のみなし基盤層にてもGs計算

免震告示は事前調査が必要

耐震建物と違い免震建物の設計ルートは事実上この限界耐力計算ルート(告示免震設計)と時刻歴計算ルート(大臣認定)しかなく、設計コストと設計期間を考えると中低層の免震建物はこのGs詳細法を用いて設計されてきました。

改正のポイントで見ると告示免震における設計行為で対処できない項目として1)2)6-2があります。中でも6-2は表層地盤増幅計算を成立させる平行・成層地盤を確認する行為として新たに追加されたものですが、範囲が設計建物の敷地外にも及ぶため、敷地内のボーリング調査のほか近隣のボーリング調査結果を収集するなどの調査が必要となりました。

公開データによる判定法の提案

ボーリング調査を実施・収集した結果、工学的基盤の傾斜が大きく告示免震設計が出来ないとなれば、建築行為自身も中止となることもあり、調査費用が宙に浮くことも懸念されます。又、逆にそのリスクを避けるため免震建物の計画が最初から見送られることを危惧致します。

そこで弊社では平成15年に内閣府中央防災会議から公開された1kmメッシュの地盤情報をデータベース化し、工学的基盤勾配の判定ができるシステムを構築しました。

<基盤勾配の判定概要>
  • サイト周辺の局所的な判断とならないよう、公開されている1kmメッシュの地盤情報を用いて隣り合うメッシュ間の工学的基盤の深さ関係より勾配を算出する
  • 勾配判定用の工学的基盤は広域で統一データのあるせん断波速度Vs=700m/sの層とする
  • 平行・成層地盤での表層地盤増幅計算は地震動が深部より垂直に入射して表層地盤で重複反射を行うことを前提としているが、Vs=700m/sの層で平行が確かめられれば、それ以浅の地層へは地震動が垂直入力されるものと判断する


  •  弊社で判定可能なの地域
  工学的基盤深さをコンター表示しました
工学的基盤深さコンター図


  •  工学的基盤勾配調査書(例)
  サンプル調査書

  •  新告示免震設計における地盤調査フロー(例) 暫定版

フロー図


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